地域の皆さま、こんにちは。リリー薬局で管理薬剤師をしております。
健康をサポートして早30年、調剤室の主(ぬし)として、数え切れないほどの処方箋と向き合い、最新のシステムも最速で使いこなしてきたと自負しております。
「お薬のことなら何でも聞いてください!」
……と、薬局の中では胸を張って言えるのですが。
実は私、この度「学校薬剤師」に就任いたしました。
お薬のプロフェッショナルとしてはベテランですが、学校薬剤師としては右も左も分からない「ピッカピカの1年生」です。
今回は、そんな私の記念すべき初仕事についてお話しします。
調剤室から学校のプールへ!未知との遭遇
私の学校薬剤師としての初ミッション、それは「プールの水質検査」です。
薬局での業務なら、どんなに複雑な処方箋でも圧倒的スピードと鑑査力でこなす自信があります。
しかし、相手は子どもたちが楽しみにしている大きなプール。
「残留塩素……?」
「水素イオン濃度(pH)……?」
言葉としてはもちろん国家試験の頃から知っていますが、実際に現場で測定キットを握るのは人生で初めての経験です。
前日は、まるで遠足を楽しみにしている小学生のように、検査マニュアルを何度も何度も読み返してしまいました。
ベテランのプライドと、初心者のドキドキ
いざ学校へ到着し、初夏の風が吹き抜けるプールサイドへ。
元気な子どもたちの歓声が校舎から聞こえてくる中、私は一人、測定用の水を採るためにプールサイドへしゃがみ込みました。
「お薬の分量は1ミリグラムの狂いも許さない私が、プールの水質検査で手こずるわけにはいかない…!」
そんな妙なプライドを胸に抱えながら、緊張した手つきで検査キットに試薬を投入します。
ぽた、ぽた……。
試薬を入れた瞬間、水の色がパッと鮮やかに変わりました。
「おおっ……!」
その瞬間は、まるで学生時代の化学の実験に戻ったかのようで、胸が少しワクワクしている自分がいました。
調剤室のカウンター越し、パソコン画面の前では決して味わえない、現場ならではの太陽の光と新鮮な空気でした。
子どもたちの見えない健康を「未然に守る」仕事
無事にすべての項目の検査を終え、基準値をしっかりクリアしていることを確認できた時。
肩からスーッと力が抜け、大きな安堵と同時に、今までにない新しいやりがいが胸を満たしました。
私たちが普段、薬局のカウンターでお渡ししているお薬は、病気やつらい症状を治すための「治療」の道具です。
しかし、学校薬剤師の仕事は、水質や空気、教室の照度環境を整えることで、子どもたちの健康を「未然に守る(予防する)」ことなのだと肌で実感しました。
アプローチや場所は違えど、「地域の健康と笑顔を守る」という根っこは、30年間調剤室でやってきたことと全く同じだったのです。
まとめと次回予告
調剤歴30年にして飛び込んだ、学校薬剤師という新しい世界。
戸惑うことも多いですが、長年培ったベテランの意地と、ピッカピカの1年生としての素直な探究心を持って、地域の子どもたちが安心して学べる環境を全力で守っていきたいと思います。
薬局のカウンターでは普段見せない、ちょっと不器用でドキドキしている一面も赤裸々に綴っていきますので、どうぞ温かい目で見守っていただければ幸いです。
次回は、「教室の空気・照度検査(二酸化炭素濃度と明るさのヒミツ)」をお届けする予定です。お楽しみに!