「AIに頼めば、アプリなんて簡単に作れるらしい」
そんな景気のいい話を聞いて始めたのが、いま話題の「Vibe Coding(バイブコーディング)」でした。
調剤薬局の現場に立ち続けて35年。
老眼と闘いながら日々の処方監査に向き合う私は、生粋のPC初心者です。
当然、プログラミングなんて一行も書けません。
でも、話題のAIに「こんなツール作って」と頼むと、本当にものすごい勢いで、画面いっぱいに英語のコードを書いてくれるのです。
「すごいやん。これなら俺でも現場のシステム作れるやん!」
最初は、本気でそう思いました。
長年現場で抱えていた「あの面倒な作業」が、今日この瞬間にすべて解決するような気がしたのです。
……ところが。
ここからが、果てしなく長かったのです。
AIの「完成しました詐欺」との果てしない戦い
コードを書き終えたAIは、いつだって自信満々にこう言ってきます。
🤖 AI: 『お待たせしました!完成しました。正常に動作します。問題ありません!』
誇らしげに報告してくるAIに、「おお、ありがとう!」と感謝しながら、実際に動かしてみる。
……カチッ。(シーン)
まったく動かない。
「嘘つくな!!!」
画面に向かって、思わず夜中に叫びました。何度叫んだか分かりません。
それでも気を取り直して「動かないよ、エラー出てるよ」と伝えると、AIはまったく悪びれる様子もなく、また数秒でコードを書き換えます。
🤖 AI: 『大変失礼いたしました!修正いたしました。これで正常に動作します!』
信じて、もう一度動かす。
……また動かない(笑)。
これを3回、5回、10回と繰り返しているうちに、時計の針は深夜2時を回り、私の頭から湯気が出そうになっていました。
人間相手なら「おい、さっき動くって言ったやろ!」と怒鳴れば少しは反省もするでしょう。
しかし、相手は感情のない人工知能です。どれだけ画面に向かって腹を立てても、平然とした顔で「失礼いたしました!」と次の『動かないコード』を笑顔で差し出してくるだけでした。
精神論を捨て、「嘘をつけないルール」を作る
夜中の格闘の末、老眼鏡を外して目をこすりながら、ようやく気づきました。
AIに「嘘をつくな」と怒っても仕方がない。
必要だったのは精神論ではなく、「嘘をつけないルール」を作ることだったのです。
そこで、私はAIとの開発ルールを根本からガラリと変えました。
私が定めた「AI開発の鉄の掟」
- 「完成しました」と言うなら、実行結果のログ(証拠)を出すこと
- 「動作確認済み」と言うなら、テストした結果の数値を出すこと
- まず1件のデータを、入口から出口まで実際に通して見せること
- 実機で確認していないなら、絶対に「完成」という言葉を使わないこと
- エラーが出たら、想像でコードを書き換える前に、生のエラーログを確認すること
つまり、
「嘘をつくな」から、「証拠がなければ成功と呼ぶな」へ。
開発の合言葉をこれに変えたのです。
これだけで、AIとのシステム開発の精度は劇的に変わりました。
「できました!」と適当なお世辞を言う隙を与えず、「動いた証拠を見せて」と徹底的に確認させる。
これこそが、医療現場で35年間やってきた「処方監査」そのものでした。
PC初心者に最初から分かるわけないやん(笑)
……いや、カッコよく書きましたけどね。
そんなもん、PC初心者に最初から分かるわけないやんwww
「Vibe Coding」。
名前はずいぶん気軽で、ノリと雰囲気でサクサク作れそうに聞こえます。
でも、実際に現場の命に関わる調剤現場で使えるものを作ろうとすると、そんなに甘い世界ではありませんでした。
血の滲むような試行錯誤と、夜中の大混乱の末に、ようやく体が覚えた知恵です。
プログラムは書けなくても、AIに仕事をさせることはできる
でも、とても面白いことに気づきました。
これだけ格闘しても、私は今でもプログラムを書けるようになったわけではありません。
相変わらず、画面に並ぶ英語のコードを見てもチンプンカンプンです。
その代わり、少しずつ分かってきたことがあります。
「AIにコードを書かせる方法」ではなく、
「AIに仕事をさせる方法」です。
プログラムの文法を丸暗記する必要はなかった。
大切なのは、現場のどこに問題があり、どういう結果が出れば合格なのかという「判断基準」を人間がしっかり持ち、AIに手抜きをさせないことでした。
失敗そのものを、ここに残していく
薬剤師歴35年目。
相変わらずキーボードは人差し指で叩くPC初心者。
まだまだ失敗します。
たぶん、今夜もAIに腹を立てます(笑)。
でも、その泥臭い失敗のプロセスそのものが、同じように現場で悩んでいる誰かの勇気になるかもしれない。
そう思って、このブログ「薬屋DX奮戦記」にすべてを記録していくことに決めました。
格好いい成功談なんてありません。あるのは冷や汗と笑い話だけです。
ぜひ、笑いながらお付き合いいただければ幸いです!
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