薬局の現場で35年。
日々の処方監査や在宅医療に追われながら、夜な夜なパソコンに向かって薬屋DXに挑んでいる私ですが、作業をしていると必ず訪れる瞬間があります。
「……あれ? 俺、深夜の調剤室で一体何をやってんねん……?」
画面に並ぶ謎のエラー、調子のいい嘘をつくAI、そして机の上に積み重なるマニュアルの山。
思わず苦笑いしながら頭を抱えるこの「迷走の時間」ですが、実は後から振り返ると、現場を劇的に変えるブレイクスルーや、読者の皆様に大笑いしていただける「神回記事」のきっかけは、すべてこの泥沼の中から生まれていました。
何がきっかけで神が降りてくるか分からないからこそ、この試行錯誤を1滴もこぼさず資産に変えたい。
今回は、そんな想いから生まれた小さな相棒システムのお話です。
今日やろうとしたこと:喉元過ぎれば熱さを忘れる問題
これまでAI(Antigravity)と一緒に業務改善ツールを作ったり記事を書いたりしてきましたが、作業が終わると大きな課題がありました。
「あれ? さっきのエラー、どうやって直したっけ?」
「どの手順を踏んだら動くようになったんだっけ?」
どんなに苦労して解決しても、翌朝にはすっかり忘れてしまうのです。
そこで、「人間(私)は何も面倒な操作をしなくても、AIが勝手に作業内容・エラー・テスト結果を日付別にメモしてくれる仕組み」を作ろうと思い立ちました。
最初の壁:また難しい英語が出てきた……猫に小判?
意気揚々と始めてみたものの、画面には見たこともない英単語やスクリプトがズラリと並びました。
「これって結局、私が全部勉強して使いこなさなきゃいけないの?
フォルダがどこにあるかも分からないのに、また新しい宿題が増えただけちゃうん?」
PC初心者の私にとって、黒い画面(ターミナル)や複雑なファイル管理は一番触りたくない領域です。
早くも強い拒絶反応と不安が押し寄せてきました。
気づき:これは私の勉強用ではなく「AIの監査システム(手綱)」だった!
しかし、AIとじっくり対話するうちに、目からウロコが落ちるような事実が分かりました。
「これは人間が勉強するための道具ではなく、AIに持たせる監査システム(手綱)なのだ」ということです。
- 普通のAI: 「動くはずです!」と適当に報告してバグを放置しがち(新人薬剤師の油断)
- 今回の仕組み: テストという鑑査機を通し、合格印が出るまで絶対に次に進めない「二重チェック体制」
さらに、AIが失敗したときは「直前の正常な状態に自動で巻き戻す(セーブポイント)」ブレーキまでついています。
「なんだ、私が覚えるんじゃなくて、AIに『勝手に監査受けて記録しとけよ』と命令するだけの仕組みか!」
そう腑に落ちた瞬間、肩の力が一気に抜けました。
どう解決したか:1日の終わりに「/day-end」とつぶやくだけ
Mac用のワンクリック導入スクリプトを用意し、プロジェクトに安全に組み込みました。
私がやることは、たったこれだけです:
- 開発中: いつも通りチャットで「ここ直して」と普通に話すだけ(AIが裏で開始時刻やテスト結果を自動メモ)。
- 作業終了時: チャット欄に
/day-end(今日は終わり)と一言送信するだけ。
これだけで、裏でAIが勝手に当日の日報をまとめ、ブログ用の下書きまで全自動で書き上げてくれます。
もちろん、患者さんの個人情報やパスワードは絶対に記録しないよう、厳格な自動フィルターも完備させました。
薬局業務へどう効くか:記録が勝手に残る安心感
薬局の現場でも、「ヒヤリ・ハットの記録」や「業務マニュアルの更新」はついつい後回しになりがちです。
忙しい業務の合間に手書きで日誌を書くのは大変ですが、「現場で動いた事実が勝手にカルテのように残る」状態を作れれば、記録の負担はゼロになります。
後で別のスタッフが見たときも、
「ああ、ここでつまずいてこう直したんだな」
と一目で分かり、薬局全体の貴重な知恵として蓄積されていきます。
同じ初心者へ伝えたいこと
ITやプログラミングを始めると、誰でも必ず「私、深夜に一人で何をやってるんだろう……」と途方に暮れる夜が来ます。
でも、諦めたり恥じたりする必要は全くありません。
「一体何をやってんねんw」と格闘した時間こそが、教科書には載っていない一番リアルで価値のある宝物です。
その失敗やドタバタをそのまま記録に残しておけば、いつか同じように悩む誰かを救う温かい道標になります。
まとめ
こうして無事に「全自動の記録係」を手に入れた私の開発現場。
何がきっかけで神が降りてくるか分からないからこそ、これからは安心して思いっきり迷走し、思いっきり試行錯誤を楽しみたいと思います。
次回は、学校薬剤師シリーズの第2弾「教室の空気・照度検査(二酸化炭素濃度と明るさのヒミツ)」をお届けする予定です。どうぞお楽しみに!