キャッチコピー: 「コードは書けない。でも、開発はできる。」「昨日の失敗を、明日の誰かの近道に。」「AIに任せる。でも、AI任せにはしない。」
👉 シリーズ特設一覧はこちら
こんにちは。薬剤師歴35年、パソコン初心者の薬屋です。
半年前、私はAIを使ってシステム開発を始めました。
きっかけは、薬局の仕事をもっと楽にしたかったからです。
- スタッフの負担を減らしたい。
- 患者さんの待ち時間を短くしたい。
- 新人でも安心して働ける仕組みを作りたい。
そんなことを考えていたときに出会ったのが、Vibe Coding(バイブコーディング)という言葉でした。
AIに日本語で指示するだけで、プログラムができる。
なんと素晴らしい時代になったんだ!正直、そう思いました(笑)。
ところが、現実はそんなに甘いものではありませんでした。
1. 実体験:「できます!」と言われたのに、できていない
私はGoogleのAntigravityを使って開発を始めました。
作りたいものを説明すると、AIは実に頼もしい返事をしてくれます。
- AI: 「実装できます!」
- AI: 「修正しました!」
- AI: 「完成しました!」
こちらも嬉しくなります。
ところが、実際に使ってみると、動かない。
もう一度修正を頼む。
すると別のところが壊れる。
その修正を頼むと、今度は最初に動いていた部分までおかしくなる。
「なんじゃこりゃ!(笑)」
何時間もかけて、結局振り出しに戻る。こんなことを繰り返していました。
私にはプログラミングの実力がない
ここで、はっきり申し上げておきます。
私はプログラミングの専門家ではありません。PythonもSwiftもJavaScriptも、詳しい仕組みを説明しろと言われたら困ります。開発報告に難しい言葉が並んでいても、何が書いてあるのか分からないことが今でもあります。
それなのに、AIを使って開発しています。なぜか?
作りたいものがあるからです。
そして、もう一つ。作らなければ解決できないと思っていた問題が、現場にあったからです。
人のために始めたことだった
薬局の仕事を楽にしたい。患者さんを待たせたくない。スタッフが無理をしなくても仕事が回るようにしたい。
そう思って、一人で始めたシステム開発でした。
でも、続けているうちに気づいたことがあります。
結局、私は自分自身が納得したかったのです。
できないまま終わりたくない。分からないまま諦めたくない。「完成しました」と言われても、本当に完成しているのか分からない状態が嫌だったのです。人のために始めたことが、いつの間にか自分自身の勉強になっていました。
2. 実際の指示文:Vibe(雰囲気お任せ)だった頃の指示
当時の私がAIに投げていたのは、まさに「雰囲気」に頼った指示でした。
【当時の指示文】
Macの不要ファイルを自動でお掃除して、動きを軽くするアプリを作りたいです。
初心者でも使いやすくて、便利で安全なものをいい感じに作ってください!
一見、普通の指示に見えます。しかし、これではAIに「雰囲気で全部お任せ」しているだけです。「便利とは具体的に何か」「安全とは何を絶対に消してはいけないのか」「完成の基準は何か」が一切決まっていませんでした。
3. 初心者向け解説:DRIVE CODINGという言葉に出会った
そんなとき、最近「Drive Coding」という言葉を目にしました。私は思わず、「これだ!」と思いました。
- Vibe(バイブス)は、雰囲気。
- Drive(ドライブ)は、何かを前へ進める力。
もちろん、Vibe Codingには本来の意味がありますし、雰囲気だけで開発することを意味するとは限りません。ただ、少なくとも私の最初の勘違いは、「AIにお願いすれば、あとは勝手に何とかなる」というものでした。
でも、それではうまくいかなかった。
- 何を実現したいのか。
- 何ができなければ失敗なのか。
- 何をしてはいけないのか。
- 誰が実際に使うのか。
そこを人間が明確にしないと、AIはもっともらしいものを作っても、こちらが本当に必要としているものを完成させられるとは限りません。
人間なら、相手の表情を見て、困っていることを察してくれる場合があります。
でも、AIにそんな期待をしてはいけません。
AIがこちらの目的を推測してくれることはあります。しかし、推測が正しい保証はありません。
だから、私は質問するようになりました。
「それって何?」「どうして必要なの?」「ほかに方法はないの?」「危険じゃないの?」「本当に完成したの?」
最初は、分からないから質問していただけです。しかし、質問を繰り返すうちに、少しずつAIへの仕事の任せ方が変わってきました。
そして、Macのお掃除アプリ「MacCare」を実際に動かすところまで進めることができました。
半年前の私に伝えたいこと
プログラミングを始めるために、最初からPythonを勉強しなければいけないと思う必要はありません。もちろん、知識はあったほうが便利ですが、ないから何も始められないわけではありません。
まずは、自分が何を作りたいのか、なぜ作りたいのかを考える。そして、AIに質問する。分からなかったら、また聞く。実際に試して、失敗したら原因を調べる。この繰り返しから始めればいい。
AIがコードを書く。人間が目的を示し、結果を確かめる。
これが、私にとってのDRIVE CODINGです。半年間かけて、ようやくここまでたどり着きました。
4. 成功・失敗・未確認
| 項目 | 判定 | 現場での事実 |
|---|---|---|
| 成功したこと | ✅ 成功 | 目的を明確にし、質問を重ねることで、Macのお掃除アプリ「MacCare」を実際に動かすところまで進められた。 |
| 失敗したこと | ❌ 失敗 | AIの「完成しました」という報告を言葉通りに信じ、動かないコードに何時間も付き合って振り出しに戻ったこと。 |
| 未確認のこと | ⚠️ 未確認 | 自分のMacBook以外のマシン(Intel Macや他部署の環境)でも安全に動くかどうかは、この段階では未確認。 |
5. 次に使える指示文
AIに開発を依頼するとき、最初の丸投げを防ぐための指示文です。
ここではコードを書かず、作りたいアプリの目的、必要な機能、安全上の制約を整理してください。
既存機能で解決できる場合は新規開発を勧めないでください。
まず最小限の試用版の要件を提案してください。
6. 未来の自分への申し送り
- 今回分かったこと: AIへの指示で大切なのは、難しい技術用語よりも、目的・制約・完成条件を明確にすること。
- 失敗したこと: AIが「完成しました」と報告しただけで、実際に使えると思ってしまったこと。
- これから改善すること: 開発を始める前に、何ができれば成功なのかを決めておくこと。
- 次回のテーマ: AIの「できます!」を信用して失敗し続けた私が、どうやって「証拠を要求する」という方法にたどり着いたのか。
- 第001話: Vibe Codingに夢を見た薬剤師の半年間(現在の記事)
- 第002話: AIの「できます!」に何度も騙された(笑) →
- 📚 シリーズ特設一覧へ戻る